【問12】
債権譲渡等の規制に関する次の(1)〜(4)の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。
1.
貸金業者から貸付けに係る契約に基づく債権の譲渡を受けた者(以下、本問において「譲受人」という)が、当該貸金業者と政令で定める密接な関係を有する場合において、譲受人が「貸金業法第21条第1項に規定する取立て行為の規制」(以下、本問において「取立て行為の規制」という)に違反した。この場合、当該貸金業者は、譲受人が取立て行為の規制に違反する行為を行わないように相当の注意を払ったことを証明できなかったときは、登録の取消し又は業務停止の対象となる。
2.
法人である貸金業者の従業者は、貸付けに係る契約に基づく債権の譲受人が暴力団員等の「貸金業法第24条第3項に規定する取立て制限者」(以下、本問において「取立て制限者」という)であることを知りながら、これを相手方として当該債権を譲渡した。この場合、当該貸金業者は刑事罰の対象となるが、当該債権譲渡を行った従業者は刑事罰の対象とならない。
3.
貸金業者は、政令で定める密接な関係を有する者を相手方として貸付けの契約に基づく債権の譲渡又は取立ての委託をした場合、当該相手方が取立て行為の規制に違反しないよう相当の注意を払わなければならないが、相手方が当該貸金業者の取締役である場合は、密接な関係を有する者に当たらないため、そのような義務を負わない。
4.
貸金業者は、取立て制限者であることを知らずに、その者に対し取立ての委託をし、当該取立て制限者は、取立て行為の規制に違反した。この場合、当該貸金業者は、取立ての委託をした相手方が取立て制限者であることを知らなかったことについて相当の理由があることを証明できたか否かを問わず、登録の取消し又は業務停止の対象となる。

【解説】
1.○
その通り。
2.×
従業員も刑事罰の対象となる。
ちなみに1年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれを併科です。
さらにちなみに、両罰規定であるため、事業主に対しては300万円以下の罰金が科せられる。
3.×
貸金業者の取締役は「密接な関係を有する者」に該当する。
一般的なイメージでは取締役は会社内の者だから仲間内(従業員)のような感覚ですが、取締役というのは、ようは仕事を委任されているような形の者なので、仲間内というよりも「密接な関係を有する者」に該当します。
取締役ってのはどんな人なのか、会社法でサラッと勉強したと思うので、復習しておきましょう。
4.×
「〜証明できたか否かを問わず」だったらダメ。
相手方が取立て制限者であることを知らなかったことについて相当の理由があることを証明できなかったときに、登録の取消しまたは業務停止の対象となる。
証明できた場合、業務停止処分等の対象にならないので、本肢は×。
[感想]
債権譲渡は民法にも出てくるのでしっかり理解しておきましょう。
民法では微妙だな〜ってところを貸金業法で修正しているので、貸金業法の債権譲渡は貸金用に民法をカスタマイズしたっというイメージです。